給与明細での確認方法と職業別の節税効果
公開: 2026-04-20 / 最終更新: 2026-10-24
掛金の上限額は、2026年12月1日からの値で書いています。それまでの上限は、自営業・フリーランスが月68,000円(国民年金基金等と合算)、会社員・公務員が月20,000〜23,000円(勤務先の企業年金の有無による)、専業主婦(夫)が月23,000円です。
ネットで公務員 iDeCo を調べると「上限は 62,000 円」と書かれていることが多いですが、これは合算上限の話で、実際の iDeCo 拠出額の上限は人によって違います。正しくは 62,000 円から共済掛金相当額を差し引いた額です。
私は当サイトのシミュレーターで公務員ケースを実装する時、悩んだ末に「共済掛金相当額」の入力欄を独立で用意しました。会社員の企業型 DC 欄と同じ位置づけで、入れないと上限額が過大に出てしまうため。この記事は、その実装の過程で整理した「公務員 iDeCo の上限はこう決まる」を書き残したものです。
共済掛金相当額が月 8,000 円なら iDeCo 月 54,000 円、月 10,000 円なら月 52,000 円。差は数千円ですが、30 年積立だと累計で 100 万円単位の差。最初の作業は 自分の共済掛金相当額を給与明細で確認することです。
合算上限から共済掛金相当額を引きます。
iDeCo 月額上限 = 62,000 円 − 共済掛金相当額
共済掛金相当額(年金払い退職給付の保険料)は、共済年金の被用者保険料に含まれている部分のうち、退職等年金給付に相当する金額。これが「他の企業年金(DB 相当)と同じ位置づけ」として、iDeCo の合算上限から差し引かれる構造です。
たとえば共済掛金相当額が月 8,000 円の場合: 62,000 − 8,000 = 54,000 円/月。共済掛金相当額は、国家公務員・地方公務員・私学共済の加入者で、また人によっても違います。
共済掛金相当額は、毎月の給与明細の天引き欄で確認できます。職場や共済組合で項目名は微妙に違いますが、目印は「退職等年金給付」または「退職年金分」「退職年金保険料」のいずれか。
手元の給与明細を見ても項目名が見当たらない場合は、共済組合の Web ポータル(職員向け)で「保険料内訳」を表示できることが多い。それでも確認できなければ、所属組織の人事部または共済組合のサポートに直接問い合わせるのが確実です。
※ 当サイトのシミュレーターは「共済掛金相当額」の入力欄を用意しています。正確な値が分からない場合はデフォルト値(月 8,000 円)で試算し、わかった時点で再計算するのが現実的。私はこのデフォルト値を、複数の公的資料に出ている代表値を見て決めました。
公務員は給与水準が安定し、年収帯と限界税率の対応が予測しやすい職業です。共済掛金相当額が月 8,000 円なら上限は月 54,000 円で、改正前の会社員の上限(月 23,000 円)の 2 倍以上を拠出できます。シミュレーターで実測した数字を以下にまとめました。どれも上限いっぱい(共済掛金相当額が月 8,000 円なら月 54,000 円、月 10,000 円なら月 52,000 円)を積み立てた場合の節税額です。
| 年収・共済 | 1 年あたり | 25 年の累計 |
|---|---|---|
| 400 万・8,000 円 | 約 9.8 万円 | 約 245 万円 |
| 500 万・8,000 円 | 約 9.8 万円 | 約 245 万円 |
| 600 万・8,000 円 | 約 12.4 万円 | 約 311 万円 |
| 700 万・8,000 円 | 約 15.5 万円 | 約 389 万円 |
| 800 万・10,000 円 | 約 19.0 万円 | 約 475 万円 |
年収 400 万と 500 万が同額なのは、iDeCo で引かれる前も後も課税所得が所得税 5% の範囲に収まるため。600 万では控除の一部が 10% の範囲に、700 万では一部が 20% の範囲(課税所得 330 万円超)にかかり、800 万では控除額の全体が 20% の範囲に入ります。境目をまたぐたびに、節税額が一段ずつ増えていく形です。ここはどの職業でも共通の境界線ですが、公務員は年収帯が読みやすいぶん 自分がこの境界の上か下かを判断しやすいのが利点。
年収帯別の限界税率の仕組みは 年収別 iDeCo の節税額早見表 で整理しています。
※ 上記は本シミュレーターの実測値です。公務員・扶養なし・25 年積立で、社会保険料は厚生年金 9.15%・健康保険 5%(雇用保険なし)で概算し、税制は令和 8・9 年分の値が続く前提で計算しています。実際の社会保険料は共済組合の掛金率によって異なるので、正確な節税額はシミュレーターで確認してください。
公務員には退職手当があり、勤続年数に応じた退職所得控除が適用されます。iDeCo を一時金で受け取る場合、退職手当との受取タイミングは会社員と同じく重要な論点です。
ここで会社員と違うのが、退職手当を受け取る年がほぼ自動で決まること。60 歳定年(または定年延長後の年齢)でほぼ自動的に支給されます。会社員のように「役員定年で 5 年後」などのバリエーションが基本的にないので、受取年の調整余地は iDeCo 側にしかありません。
「定年で退職手当を受け取り、iDeCo は数年後に一時金として受け取る」というパターンが多くなります。退職手当先取り → iDeCo は 19 年ルールが効くので、控除合算となるケースがほとんど。年金受取(公的年金等控除を活用)との併用を含めて、シミュレーターで複数シナリオを比較する価値があります。
勤続年数ごとの退職所得控除の具体額は 退職所得控除の計算例 に、10 年・19 年ルールの非対称性は 退職金と iDeCo の受取タイミング に整理しました。
公務員という職業特性を踏まえると、iDeCo は何が魅力なのか。節税の絶対額や運用益非課税は他職業でも同じなので、ここでは 公務員ならではの相性を 3 つの違う角度で整理してみます。
まず 所得が読みやすい。解雇リスクが低く、年収カーブも予測がつきやすい職業構造なので、「来年いくら節税できるか」が事前に計算できる。会社員より計画が立てやすいのは地味だけど大きな違い。
次に 退職手当と公的年金だけでは現役の手取り水準を維持しきれないこと。これは公務員も会社員も同じですが、公務員は退職金が比較的厚いぶん油断しやすい。iDeCo は「足りないぶんを上乗せする」用途で素直に機能します。
最後に 運用益非課税は長く積むほど効く。通常の投資では運用益に約 20% の税金がかかりますが、iDeCo なら非課税。30 年積めば差は数百万円のオーダーに。これは職業を問わず共通の利点ですが、勤続年数が長い職業ほど活かしやすい構造です。
この記事は MoneyTools Lab(iDeCo 最適受取シミュレーター運営)が執筆・公開しています。運営者は税理士・ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士等の有資格者ではありません。本記事の内容は参考情報としてお読みいただき、具体的な税務判断・資産運用のご相談は専門家へお問い合わせください。
運営者自身も iDeCo の加入者です。運用歴・計算の検証方法・AI の利用範囲は 運営者について に書いています。
本記事の計算・解説は、以下の一次情報(公的機関の公式ページ)に基づいています。