課税所得ベースで見た限界税率と年間節税額
公開: 2026-04-28 / 最終更新: 2026-08-03
iDeCo の節税額を決めるのは、年収そのものではなく 限界税率(追加で得る所得にかかる税率)です。 年収と限界税率はゆるく相関していますが、給与所得控除・社会保険料・基礎控除・扶養控除をすべて引いた「課税所得」がブラケット表のどこに乗るかで実際の率が決まる構造。
記事を書きながら数値を整えていると、年収が600万から700万に上がるあたりで節税額がぐっとジャンプする現象が見えました。月23,000円を10年積み立てた累計節税が、年収600万で約56万、年収700万で約80万。年収100万円の差が節税24万円差に化けます。
この記事では、限界税率の仕組みを最小限おさえてから、当サイトのシミュレーター実測値で年収帯別の節税額を一覧します。
会社員の限界税率は、おおむね次の流れで決まります。
たとえば年収500万円・扶養なしの会社員だと、給与所得控除144万、社会保険料72万、基礎控除104万を引いて課税所得は約180万円。所得税ブラケットは5%。限界税率は 約15%(5% × 1.021 + 10%)です。
年収700万円になると、課税所得は約350万円。所得税ブラケットは20%です(330万円が境界)。月23,000円の iDeCo 拠出(年27.6万)が課税所得を引き下げる過程で、ブラケット境界をまたぐので、節税額が単純な掛算より大きくなる場面があります。
当サイトのシミュレーターで、55歳・年収X・月23,000円・10年積立・扶養なし・利回り3%の条件で実測した結果です。
| 年収 | 所得税ブラケット | 10年累計節税 | 年あたり節税 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 5% | 約42万円 | 約4.2万円 |
| 500万円 | 5% | 約42万円 | 約4.2万円 |
| 600万円 | 10% | 約56万円 | 約5.6万円 |
| 700万円 | 20% | 約76万円 | 約7.6万円 |
| 800万円 | 20% | 約84万円 | 約8.4万円 |
| 1,000万円 | 20% | 約84万円 | 約8.4万円 |
目を引くのは、年収400万円と500万円で節税額が変わらないこと。どちらも課税所得が5%ブラケットに収まるためです。 そこから600万円で約14万円、700万円でさらに約20万円と増えていくのは、ブラケットが5%→10%→20%と1段ずつ上がるから。 同じ月23,000円でも、ブラケットが1段上がると節税額が跳ねる構造です。
一方、800万から1,000万までフラットなのは、月23,000円・10年では拠出総額が276万円と少なめで、課税所得を所得税23%ブラケットの下まで押し下げきれないため。高所得帯では月額を上げないと効果が頭打ちになります。
※ 数値はシミュレーター実測値(55歳・月23,000円・10年積立・扶養なし)。 年代・積立年数・扶養家族の有無で実額は動きます。
積立期間が長くなると、累計節税はもっと大きくなります。30s-start の記事でリライトした実測値を引用します。
| 年収 | 月20,000円・30年累計節税 | 月23,000円・30年累計節税(推定) |
|---|---|---|
| 300万円 | 約109万円 | 約125万円 |
| 500万円 | 約109万円 | 約125万円 |
| 600万円 | 約146万円 | 約167万円 |
| 700万円 | 約206万円 | 約228万円 |
| 800万円 | 約219万円 | 約252万円 |
30 年積立すると、年収500万でも累計109万円の節税。 年収500万・30 年と年収700万・15 年が概ね同じ累計節税額になるあたりが、限界税率の効きを実感する場面。
※ いずれも本シミュレーターの実測値(30〜59歳・扶養なし・利回り3%)。 年収300万と500万が同額なのは、どちらも課税所得が所得税5%のブラケットに収まるためです。
上の表は「扶養なし・他の控除なし」の素のシミュレーション。実際の限界税率は、扶養や他の所得控除でブラケット境界の年収がずれます。
たとえば年収700万で扶養が2人いる会社員なら、課税所得が約142万円下がってブラケット境界(330万円)の下に戻ることがあります。この場合、限界税率は20%ではなく15%。月23,000円・10年累計の節税は約56万円相当に下がります。
※ 自分の正確な節税額は、扶養人数・他の控除を入れて本シミュレーターで計算するのが早道です。
年収300〜400万円台
限界税率15%前後。所得控除の効果は控えめですが、運用益非課税のメリットは年収に依存しません。 無理に上限まで拠出するより、生活防衛資金を確保した上で月10,000〜15,000円から始めるパターンが多い。
年収500〜700万円台
限界税率15〜30%。年収700万に上がるとブラケット境界の関係で節税効率が一段上がります。 このあたりが iDeCo の節税効果が最も顕著に体感できる年収帯。
実はこの記事を運営している私自身がこの帯です。月23,000円(年276,000円)を続けています。 表でいうと年収500〜600万・10年累計で約42〜56万円のところ。「拠出額のおおよそ20%が拠出時に戻ってくる」感覚で、5年続けた実感は 会社員5年目のiDeCo体験談に書きました。年率の運用利回りとは別物で、毎年の年末調整・確定申告のたびに地味に効いてきます。
年収1,000万円以上
限界税率30%超。月23,000円では拠出額が小さすぎて控除を活かしきれない場面が出てきます。 会社に企業型DCがあると iDeCo 枠はその分小さくなりますが、なければ月62,000円まで上げられるので、満額拠出を検討する価値があります。 自営業ならiDeCo月75,000円・小規模企業共済月70,000円の二段構えで節税を最大化できます。
この記事は MoneyTools Lab(iDeCo 最適受取シミュレーター運営)が執筆・公開しています。 運営者は税理士・ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士等の有資格者ではありません。本記事の内容は参考情報としてお読みいただき、具体的な税務判断・資産運用のご相談は専門家へお問い合わせください。
運営者自身も iDeCo の加入者です。運用歴・計算の検証方法・AI の利用範囲は 運営者について に書いています。
本記事の計算・解説は、以下の一次情報(公的機関の公式ページ)に基づいています。
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